是枝裕和(監督)
是枝監督作品
是枝監督作品「海よりもまだ深く」
やはり、面白かった。
主人公の小説家は、作家として生活できるほどの、才能と運には恵まれていなかった。それでも、夢を捨てられずにいた。やむなく探偵という職業をしながら執筆に励むが、なかなか結果がでずにいた。離婚をせざるをえなくなった。その慰謝料を工面するために、親や姉を頼ってお金を借りまくる。そのストーリーの中で、親父との確執と許容、息子との対話、妻との会話など、いろいろな境遇を織り交ぜながら物語は展開していく。
この映画は、私自信の今と、重ね合わせてしまう。小説を書く中で、常に、毎日、あるいは、瞬間瞬間、行き詰まりみたいな感覚に襲われる。平凡と非凡のはざまで書いているようだ。どうにか、ひとりでも多くの人に受け入れてもらいたい願望と、ただただ無駄な時間を費やしているのではないかという失望との間を行き来している感じだ。なぜ、書くのかという問いへの答えはひとつではなく、無数にあり、時時に変化さえする。いつか、書かなくなることもあると思うが、今は、書き続けていたい。